知性もあらゆる物と同じく消耗する。学問はその栄養である。知性を養い、かつそれを消耗する。by ラ・ブリュイエール
カテゴリー「読書」の記事一覧
- « PREV
- | HOME |
- NEXT »
- 2026.02.13 [PR]
- 2011.09.11 葉桜。
- 2011.03.26 風に舞いあがるビニールシート。
- 2011.03.06 狐笛のかなた
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
橋本紡さんの『葉桜』を読み終えました。
中学三年の頃から橋本紡さんの書く文章のファンで、3年ぶりの新作とあってかなり期待して読みました。
感想を一言でまとめると、期待以上。読み終えたあとの静かな余韻がたまらなかった。
話は青春恋愛小説。高校生の女の子が、小さい頃から通っている書道教室の先生に対して抱いている恋心を描いたお話です。
書道室の開け放たれた窓から吹いてくる風が揺れるように、主人公佳奈の想いもまた揺れる。
何か特別に山があるわけではなく、静かに流れていくように話は進んでいく。淡々としているけれど、話の中心に静かで透徹とした何かがある。
「 会えると思うだけで、なんだか嬉しい。なのに悲しい。まるで星のようではないか。本当の場所は変わらないのに、見る場所によって位置が変わってしまう。ほら、さっき左側にあった星が、今は右側にある。あの角を曲がったら見えなくなるはずだ。角に差しかかると、わたしは自転車をとめた。坂を一気に登ってきたので疲れていたというのもあるけれど、星を失いたくなかった。 」
情と景。
お話のなかで、いくつか和歌が登場します。その和歌のように、この『葉桜』もまた情景で作り上げられているのではないかと思う。
中学三年の頃から橋本紡さんの書く文章のファンで、3年ぶりの新作とあってかなり期待して読みました。
感想を一言でまとめると、期待以上。読み終えたあとの静かな余韻がたまらなかった。
話は青春恋愛小説。高校生の女の子が、小さい頃から通っている書道教室の先生に対して抱いている恋心を描いたお話です。
書道室の開け放たれた窓から吹いてくる風が揺れるように、主人公佳奈の想いもまた揺れる。
何か特別に山があるわけではなく、静かに流れていくように話は進んでいく。淡々としているけれど、話の中心に静かで透徹とした何かがある。
「 会えると思うだけで、なんだか嬉しい。なのに悲しい。まるで星のようではないか。本当の場所は変わらないのに、見る場所によって位置が変わってしまう。ほら、さっき左側にあった星が、今は右側にある。あの角を曲がったら見えなくなるはずだ。角に差しかかると、わたしは自転車をとめた。坂を一気に登ってきたので疲れていたというのもあるけれど、星を失いたくなかった。 」
橋本紡『葉桜』(P68)
この文章のように、佳奈の真情がいたるところで周りの景色と重なって表現される箇所が多くみられました。情と景。
お話のなかで、いくつか和歌が登場します。その和歌のように、この『葉桜』もまた情景で作り上げられているのではないかと思う。
PR
1年間に100冊本を読む、というのが私の去年からの目標ですけれど、去年は結局72冊しかなかった。
今年は今のところ21冊。この調子で読んでいけば100冊に届くかなと思っているのですが、さてどうなるやら……。
その21冊目に読み終えたのが、森絵都さんの『風に舞いあがるビニールシート』。一時期けっこう話題になっていた本です。
どうも私は世間が騒いでいるとその本をしばらく読みたくなるところがあって(時にはブームに乗ることもあるけれど)、以前から気になってはいたんですが手に取るのを控えていました。
読んでみたけど、面白い。
6つの短編から構成されていて、主人公の性別はばらばら。20代後半から50代くらいまでの社会で働いている大人がメインの話。
個人的には「器を探して」「守護神」「風に舞いあがるビニールシート」が良かったです。
「器を探して」を読んでいると、ケーキが食べたくなってケーキのために働きたくなる。「守護神」を読んでいると、猛烈に日本文学を勉強したくなる。「風に舞いあがるビニールシート」は昔国連で働きたいと言っていた自分を思い出させる。
小説だけでなく、面白かった話は心に何らかの変化をもたらせるような気がする。静かであったり、激しかったり。
そういう変化を与えてくれる小説はいい作品だと思う。
今年は今のところ21冊。この調子で読んでいけば100冊に届くかなと思っているのですが、さてどうなるやら……。
その21冊目に読み終えたのが、森絵都さんの『風に舞いあがるビニールシート』。一時期けっこう話題になっていた本です。
どうも私は世間が騒いでいるとその本をしばらく読みたくなるところがあって(時にはブームに乗ることもあるけれど)、以前から気になってはいたんですが手に取るのを控えていました。
読んでみたけど、面白い。
6つの短編から構成されていて、主人公の性別はばらばら。20代後半から50代くらいまでの社会で働いている大人がメインの話。
個人的には「器を探して」「守護神」「風に舞いあがるビニールシート」が良かったです。
「器を探して」を読んでいると、ケーキが食べたくなってケーキのために働きたくなる。「守護神」を読んでいると、猛烈に日本文学を勉強したくなる。「風に舞いあがるビニールシート」は昔国連で働きたいと言っていた自分を思い出させる。
小説だけでなく、面白かった話は心に何らかの変化をもたらせるような気がする。静かであったり、激しかったり。
そういう変化を与えてくれる小説はいい作品だと思う。
以前、『獣の奏者』を読んだ際に、mixiの上橋さんのコミュニティで「狐笛のかなたも素晴らしい作品です」という書き込みを見たので、数ヶ月前に生協で買って、
「獣の奏者があんなに面白かったんだから、絶対これも面白いに違いない!」
と思って、大事にあたためていた本です。その期待にこの本は十分応えてくれたと思う。
ジャンル的には和風ファンタジー。〈聞き耳〉の力を持つ小夜という少女と、呪者に縛られた霊狐・野火の物語。
ざっくばらんに言ってしまえば、この二人の恋愛を描いている話ということになってしまうんだろうけれど、もちろんそんな陳腐な話にならないのがこの作品の魅力。
人の思いとか、人と人との関係が透明に表現されていてすーっと沁み込んでくるよう。人の描写だけでなく、風景の描写もまた洗練されていて、読んでいると自分が今本当に桜を見ているようで、妙な懐かしさを覚える。
上橋さんはあとがきに、
「これは、私の心の底にある〈なつかしい場所〉の物語なのです」
と書かれていて、その思いは読んでいるこちらにも屈折することなく伝わってkる。
すばらしい作品というのは、読んだあとの余韻がいつまでも続くような錯覚を感じさせると思う。単に笑える作品、泣ける作品を読んで思いっきり笑って思いっきり泣いたりするのも好きだけれども、それ以上にこういった余韻を感じさせる作品はさらにいい。
こういう作品に出会えるから、読書はやめられない。
「小夜は12歳。人の心が聞こえる〈聞き耳〉の力を亡き母から受け継いだ。ある日の夕暮れ、犬に追われる子狐を助けたが、狐はこの世と神の世の〈あわい〉に棲む霊狐・野火だった。隣合う国の争いに巻き込まれ、呪いを避けて森陰屋敷に閉じ込められている少年をめぐり、小夜と野火の、孤独でけなげな愛が燃え上がる……ひたすらに、真直ぐに、呪いの彼方へと駆けていく、二つの魂の物語。」
「獣の奏者があんなに面白かったんだから、絶対これも面白いに違いない!」
と思って、大事にあたためていた本です。その期待にこの本は十分応えてくれたと思う。
ジャンル的には和風ファンタジー。〈聞き耳〉の力を持つ小夜という少女と、呪者に縛られた霊狐・野火の物語。
ざっくばらんに言ってしまえば、この二人の恋愛を描いている話ということになってしまうんだろうけれど、もちろんそんな陳腐な話にならないのがこの作品の魅力。
人の思いとか、人と人との関係が透明に表現されていてすーっと沁み込んでくるよう。人の描写だけでなく、風景の描写もまた洗練されていて、読んでいると自分が今本当に桜を見ているようで、妙な懐かしさを覚える。
上橋さんはあとがきに、
「これは、私の心の底にある〈なつかしい場所〉の物語なのです」
と書かれていて、その思いは読んでいるこちらにも屈折することなく伝わってkる。
すばらしい作品というのは、読んだあとの余韻がいつまでも続くような錯覚を感じさせると思う。単に笑える作品、泣ける作品を読んで思いっきり笑って思いっきり泣いたりするのも好きだけれども、それ以上にこういった余韻を感じさせる作品はさらにいい。
こういう作品に出会えるから、読書はやめられない。
「小夜は12歳。人の心が聞こえる〈聞き耳〉の力を亡き母から受け継いだ。ある日の夕暮れ、犬に追われる子狐を助けたが、狐はこの世と神の世の〈あわい〉に棲む霊狐・野火だった。隣合う国の争いに巻き込まれ、呪いを避けて森陰屋敷に閉じ込められている少年をめぐり、小夜と野火の、孤独でけなげな愛が燃え上がる……ひたすらに、真直ぐに、呪いの彼方へと駆けていく、二つの魂の物語。」

