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知性もあらゆる物と同じく消耗する。学問はその栄養である。知性を養い、かつそれを消耗する。by ラ・ブリュイエール

   
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丘に上がると、風が髪を撫でました。
 最近、一日一日を過ごし終えたあとに気持ちが晴れ晴れとしている。充実しているって言えばそうなのかもしれないけれど、世界が透き通って見える。クリアだってふとした瞬間に気付く。

 大学に入った頃からちょっと前まで、自分の存在意義とかそういうことを考えて、行き詰まりを感じて苦しかった。
 浪人して大学に入って、高校時代や浪人時代の環境との違いに驚いた。みんな当たり前に勉強ができる環境。中高時代成績が良くて勉強で挫折を覚えたことがない人ばかりが周りにいて、話していると中学時代勉強してなかったことを後悔することが何度もあった。中学時代は成績が学年最下位だったし、高二の時は模試で英語の成績が最下位だったこともある。
 なんで私、この大学に入っちゃったんだろう。
 必修のクラスでもそんな悩みは話せず、サークルでも話せず、もちろんバイト先でだって言えず、もやもやと自分の中で悩んで、時折大学に行きたくなくなって休んでしまう。大学に行くことを考えると怖くなる。すれ違う人すれ違う人に、「お前はばかだ」と思われることを想像して、ベッドから一歩も出られなくなる。布団の中だけが安全で、外が戦場のような気がして怖かった。
 そういう感覚はすでに中高時代からあったけど、大学に入ってから段々とひどくなって、一日休めば良くなるものがひどい時は一週間休まないと、外に出られないことがあった。
 勉強ができなくて成績の悪い私が本当に嫌で、勉強ができる人を見ると羨ましくて仕方なかった。一番嫌だったのは、授業とか全然出ないでそれでもテストとかレポートではいい点数取っていい成績をもらえる人。そういう人を見ると羨ましいを通り越して憎かった。何よりも、それだけで人を憎く思う自分が吐き気を覚えるくらいに嫌だった。
 大学に居場所がなく、家でも存在を否定されるようなことを言われて、どうして自分はいるのか、と。存在意義を見出したいのに見つけられない。新宿の駅で立ち止まった時に、自分の存在が薄くなっている気がして、次の瞬間には誰にも気付かれないままになくなってしまうんじゃないかと、半分怖ろしく半分他人事のように思った。
 ぎりぎりの所に立っている。
 自覚したから周囲に訴えたけれど、甘えだって言われたり突き放されたりして、ああやっぱり私がいる価値なんてないんだって思った。この世界から去るしかないのかって。いざ去ろうと思ったら、それができない。こんなことで負けてたまるかとかそんな強さだったのかもしれないけれど、突き放されてあと一歩のところで谷底という場所に立たされたから、目が覚めて本能的に引き返したというほうがたぶんふさわしい。
 引き返してみたら、世界の見え方が今までと違っていた。今までと違うから、高いところから景色を眺めてみようと思って丘に上がると、風が髪を撫でた。

 ああ、私は<世界>に立っている。
 「世界」はもしかしたら私の存在を必要としていないかもしれないけれど、少なくとも私の<世界>は私を必要としている。
 それでもいいんじゃない?

 自分の中の声を聞いたら、肩から力が抜けて、薄くなっていた自分の存在が濃くなっていって、そして今の私がいる。
 勉強があまり得意ではない私は変わらないけれど、今はそんな私でもいいかなって思えるし、周りのできる人(この表現には違和感を覚えるけれど)を見ても、「ああ、すごいなー」とは思うけれど、羨ましく思うことはあまりなくなった。自分の考えで自分を追い詰めて不幸にしなくなった。
 私は私。
 実感として、そう思う。
 今は生きることが本当に楽。頭が霞がかかった感じはもうしない。世界が透き通ったように映し出されている。
 ただちょっと切なく思うのは、苦しい時に「今までよく頑張ったね」と言ってもらいたかった。夢の見すぎなのかもしれないけれど、大切な人たちにそう言ってもらいたかった。結果的に良かったし突き放してもらったから、自分の甘えもより自覚できてしっかり立とうと思ったけれど、これが現実なんだと思うと、一抹の哀しみが残る。
 でも、昔つらい時に言ってもらったことがあるから、また要求するのはわがままなのかな。言ってもらったことがあるだけで、私は十分幸せなんだろうな。

 また私が、私を不幸にしませんように。
 現実は厳しいけれど、物語の中では夢や希望があって欲しい。そんな物語を書きたい。

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プロフィール
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累華
年齢:
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性別:
女性
誕生日:
1990/10/06
職業:
大学生
趣味:
散歩 読書 映画や芸術鑑賞
自己紹介:
都内の大学に通う大学二年生。心理学専攻。
将来は作家になりたいので、創作の肥やしにするために色んなものを聞いたり見たり読んだりして経験値を増やそうと奮闘する日々を送っている。
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